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8月12日の夢(犯罪都市) [夢]

 ぼくはバスに乗って、山へ登って行く。山には麓からてっぺんまで沢山のビルが斜面にしがみつくように建ち並んでいる。ここはアメリカでも有名な無法地帯で、山全体がギャング組織に統治されている犯罪都市だ。そこには白人から有色人種まで、沢山の刑事たちが潜入しており、ぼくもその一人である。
 新しく潜入した刑事グループが何気ない顔をして、一つの箱を置いていく。その蓋をやはり何食わぬ顔で取ると、蓋の裏に新たな指令が書かれている。ぼくはこの街で一人の女性シンガーのインタビューを二回したことがあり、今回はその弟に話を聞くことになる。
 弟はぼくのインタビューメモがみみずの這うような文字で記されたノートを見て、いろいろコメントしてくれる。ノートの上部に何か緑色の染みがついており、彼はその染みにペンでバツ印をつける。
 ぼくは彼にノートの文字を指さし、「この言葉の意味がわからないんだ」と話しかける。彼は「それはこの国で作られた交響曲の名前だよ」と答える。「ああそうか。この曲はお姉さんの作曲じゃなかったんだ」とぼく。そうしたやりとりを、かたわらで男が無言で見守っている。どうやら二回のインタビューのうち、前回のものだけで十分だったようだ。
 ぼくは休憩のため寝転び、テレビを見ている。ちょうど反対側に同僚のOさんが寝転んで、文庫本を読んでいる。ぼくらは偶然、顔をつきあわせて寝ているかっこうになり、はた目には恋人のように見えてしまうかもしれないなあと思う。

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